宝石販売指導マニュアル

01 ガーネット

 ガーネットに関しては鉱物学的な色、性質で7種類に分類することが出来ますがここでは大きく二つに分けて考えたいと思います。赤色系(アルマンダイト、バイローブ、ロードライト、スペサタイト)と黄緑系(グロシュライト、ウバロバイト、アンドラダイト)とありますが一般的にはガーネット(赤)グリーンガーネットという分け方で良いと思います。日本ではポピュラーな宝石といって良いでしょう。グリーンガーネットが一般的になる前は赤い色の高い宝石はルビーで求めやすいものはガーネットでそれ以外は知識として必要もありませんでした。高度成長の時代多くのご婦人方が買った宝石のひとつですが、戦後米国より持ち込まれてきた宝石で日本人になじむ大きな役割を果たしたといって良いでしょう。

ガーネットの歴史

 古代エジプトではすでに認識されていた最も古い宝石(ガーネットとしてではなく)といってよいでしょう。ガーネットは日本名《柘榴(ざくろ)石》というが、色が似ていることからそう呼ばれる様になったといわれるが英語のGarnetの語源はやはりラテン語のGranatus《多くの種子を持つ物》を意味しており、英語で柘榴はPome-granateですからやはり柘榴がガーネットをさしているといってよいでしょう。それゆえガーネットは日本で言う《豊穣、豊作、多産》を意味し、ヨーロッパでも同じような意味を持つことから宝飾品には多く使われてきた。しかし、以前はルビーの項でも述べたように赤い石イコール《ルビー》として戦士たちのお守りとして物語の中でもよくルビーと混同されることが多い。中世ヨーロッパではやはり人気があり多く婚約指輪などにも使用されてきましたがこれも柘榴がらみの子宝に恵まれるようにとの願いが込められているといわれます。また、復活を意味していたとも言われロマノフ王朝の二コライ一世がなくなったときにウラル産の巨大なガーネットが棺とともに添えられたといわれ、ハプスブルグ家は発展とする権力の象徴に当家の紋章にガーネットを冠した。いずれにしても豊穣と発展を期待されていた宝石と考えられる。

ガーネットの価値と判断基準

  ガーネット価値は宝石の条件は勿論のこと流通量にもよるので一概に言えないがグリーンのものや黒味の少ない濃赤色のものが高価とされているが現在ではデザインジュエリーに使用されることが多く一個もので評価される場合は価格の差をつけるほどの品質の差が多いものはあまりない。一般論であるが赤色のものより緑色系の物のほうが高価である。

 黄緑色(デマントイド)、深緑色(グリーン)、赤茶色(スペッサータイト)、赤紫色(ロードライト)、赤黒色(アルマンダイト)の順になるでしょう。

ポイント

 一般論で順序を述べていますがそれぞれを比べると近似値の色も多々あります。また、それぞれのガーネットの名も無理に覚えることはないでしょう。

原産地

 ナミビア、マダカスカル、タンザニア、ロシア、ブラジルなどであるが特にアフリカ産のものに良質のもが多くある。

次のページへ 02 アクアマリン 宝石販売指導マニュアル 一覧へ戻る