宝石販売指導マニュアル

07 ラピスラズリ

 ラピスラズリとはラテン語の青い(ラズリ)石(ラピス)を語源としており、東西ともに古くより文献にも表れる石である。中国や日本では『瑠璃』と呼ばれ、東西とも宝石としてよりも顔料や塗料、時には薬品や化粧品として使われていた。また、七宝の材料としても使われており、多方面において古くより使われていたことがわかる。ラピスラズリはソーダライトやカルサイトなど複数の鉱物により構成されているが特に方解石(パイライト)と呼ばれる金色の入ったものの人気があり、それがゆえに宝飾品として使用される頻度も高かった。

 約三千年前のメソポタミヤ時代のシュメール文明では王族が装飾品としてというより衣服に施し使用していたがその後一部を除いては前記の用途で使われることが多くなった。また、インダス文明、エジプト文明の出土品の中にも多く存在するが様々な工芸品やひつぎにも使用されており、古代人にとっても身近な鉱物であった事がわかる。

 日本でも高松塚古墳での壁画で使用されていた事が確認されており、千三百年前に中国を経由しアフガニスタンから運ばれてきていた事がわかっている。つまり当時は一番近い産地としてアフガニスタンでしか採掘されておらず、千三百年前には既に交流があった事を示している。また、正倉院の宝物庫にも紺玉帯と呼ばれるラピスラズリで飾られた黒漆塗りの牛革帯が収められている。

 一般的に知られるところではツタンカーメンの金とのコントラストに使用されている事は有名であるが、金との組み合わせは随所に発見される事を考えると古今東西問わずこの組み合わせが好まれる事を示しているのでしょう。

 主な産地として、アフガニスタン、シベリア、チリ、米国コロラド州などがあるがそれ以外ではあまり発見されていない。

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