宝石販売指導マニュアル
06 トルコ石
最高品質をペルシャンと呼ぶこの石は名のとおりイランを主な産地としトルコ経由でヨーロッパに広がったために『トルコ石』と呼ばれるようになったといわれている。ペルシャ(イラン)の商人達はヨーロッパとの交易をする際にトルコ経由で品物を運んでおり、その際に貨幣の代わりにこの医師を身につけていたといわれ、盗賊などの被害にあった折にはこの石を渡すことにより難を逃れたといわれ、そのために災害を乗り越えるための護符としても珍重されたとされる。
現在ではアリゾナを中心としたアメリカのインディアンジュエリーに使われることで人気がある石である。産地により特徴があり、タラコの黒い筋(メイトリクス、母岩)が入ったようなものが米国アリゾナ産に多く、模様の面白さから人気がある。また、筋がないイラン産のライトブルーのものは最高品質とされ、ペルシャン、または、ロビンズエッグ(コマドリの卵)とよばれ珍重されるが最近では両方ともネリモノ、つまり人造の物が多く出回っており気を付けなければならない。もし筋が入っており、その部分が窪んでいなければ人造である確立が高い、それは母岩部分のほうが低硬度で研磨する際に凹みが生ずるためである。しかし、一般的にはペルシャンに近づけるために筋のあるものは少ない。シナイ半島でも古くに産出されていたとされるが現在では前述のアリゾナが最大産地となっている。また若干緑がかったものでアジアでも産出するものもあるが一般的ではない。
歴史的には5千年前のミイラが身に着けていたものが出土したりと例はありますが名前の付いた由来どおり認識されたのはエジプトやイランの商人達がヨーロッパに渡り始めた十三世紀ころとされる。
取り扱いとしてはトルコ石を硬化させるためにワックスや硬化液を使用していることが多く瑕や熱には気をつけなければいけない。その他の産地として、メキシコ、アフガニスタン、中国、イスラエルなどがある。
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