宝石販売指導マニュアル

02 アクアマリン

 アクアマリンはその名のとおり水と海を指すラテン語で、水色ではありますがエメラルドと同じベリルに分類される宝石です。ただ、エメラルドに比べ大きい原石が多く、また内包物も少なく一般的に出回っているものはエメラルドに比べてサイズの大きいものが多い。また、チューブインクルージョンが多く密になっている場合にはシャトヤンシー効果の表れるものもある。サイズが大きく透明感の高いアクアマリンは中世の頃から照明を反射する為に夜の宝石と言われて夜会などに付けられていたが現在はその清涼感から夏に似合う宝石とも言われている。

アクアマリンの歴史

 この宝石は歴史上登場することは少なく、歴史上古い宝石の名に関してはギリシャ語が語源になることが多いのですが、ラテン語のものは最近のものが多い。アクアマリンに関しても現代のラテン語が語源になっているため最近のものとされますがアクアマリンの発見される地域の漁民たちは共通して海の守り神として大事にしていたといわれる。また、現在ではあまり採掘されていないが以前はロシアのウラル鉱山でも多く採掘されていた。たびたび登場するロシアの女帝エカテリーナはこの宝石にぞっこんで採掘をどんどん進めさせた、そのために枯渇したとも言われている。

エピソード

 アクアマリンのほとんどは熱処理がされている、そのため時間が立つと退色や変色をするものもある。二十年ほど前に輸入業者から購入した50カラットほどのアクアマリンがシトリンみたいになったという。話を聞くと、この人はブライダル関係の人でリース用のティアラにはめ込んでいたという。このティアラは人気が高く貸し出しチャンス多かったとそうです。話を良く聞いて見ると野外の結婚式も多く、太陽光線を浴びたこのアクアマリンは素晴らしく綺麗なもので、強い照明の下ではそれに負けないだけの輝きがあったという。それなのに「最近はこれが黄色みを帯びて使えなくなった」のでどういうことなのかということです。

 この話は別に驚く話ではありません。多くのアクアマリンは熱処理が行われており長い間直射日光を浴びると退色していきます

アクアマリンの価値と判断基準

 世界におけるアクアマリンの産出はブラジルが中心となっていますが中でもサンタマリア鉱山の色の濃いものは高い評価を受けます。結果現在では品質の良いものを『サンタマリア』と形容するようになりました。現在ではアフリカ産の物も多く『サンタマリア・アフリカーナ』と呼ばれています。これらの共通するものは黄色の混じらない青みの深いものが高い評価を受ける。またこれらも最良質の色を基準に4Cに当てはめることが大事である。

ポイント

 サンタマリアと通常のアクアマリンは比べることが一番早く理解が出来ると考えます。機会があれば比べて見ましょう。

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