宝石販売指導マニュアル

04 水晶(クオーツ)

 水晶系の宝石は日本でも非常に広く知られ人気がある。それは日本でも以前はたくさん採掘されたもので特に山梨県では大量に採れ現在も宝石の中心の地となっている。一般的に知られるものとしてはアメシスト(紫水晶)シトリン(黄水晶)ローズクオーツ(紅水晶)スモーキークオーツ(煙水晶)ルチル若しくはルチレイテッドクオーツ(針水晶)そのほか透明なものや他の色もある。ここでは宝石質としてアメシスト、シトリンにふれていきます。

水晶の歴史

 ここでは唯一といってよい日本の宝石なので日本の歴史に触れます。山梨県では縄文時代の住居跡から発見され数千年前には用途は不明であるがすでに何らかの目的で使用されていたと考えられる。古墳時代になると明らかに装身具として使用され、すでに玉として研磨され使用されていた。徳川時代に一度採掘を禁止されはしたが明治に入り再開され、透明な清澄なものとして世界に知られていた。しかし、1900年代初めにはほとんど掘り尽くされ、その後アメリカやブラジルより輸入が行われるが色彩のものが多く現在の宝飾品へと移行していく。

アメシスト(紫水晶)

 この石は日本でも以前から人気のある宝石で甲府に水晶を南米より輸入するようになると原石の置物を含めどんどん日本に入ってきた。神秘的な紫色は置物として日本の一部のお金持ちに人気があり、現在でもお持ちの方が相当いらっしゃると思います。その金持ちの象徴みたいな置物の本の一部の良質なところをつかった宝石ですから勿論人気があったわけです。アメシストにまつわる話しはいくつもありますが、結構有名なところはお酒にかかわるものでしょう。これは、色のせいもあり葡萄酒(ワイン)の話が多いのは当然かもしれません。  名前の由来に関しても古代ギリシャ語の酒酔いと言う言葉の〟メテュス〝と言う言葉に否定形の〟ア〝がついてアメテュスが語源と言われこの石を身につけると酒に酔わないと言われていた。また、その由来は諸説あるが紫色のアメシストのグラスでワインを飲んでいると常に一杯入っていると思いグラスに注がれることも注ぐこともなく必要以上に飲酒をしないといわれていた。また、中世ヨーロッパでは紫色は宗教的男性の献身と謙遜の色といわれキリスト教の司教たちの間で身につける習慣があった。これは法王や高位な大司教が象徴として青いサファイアをしていたからではないかと考えられる。  ヨーロッパでは酔わないという意味から冷静さを求められる知的な職業の人たちには人気があり、教師、弁護士、医師、そしてあらゆる職業の責任者に向いているといわれている。また、生まれたばかりの新生児の左手に握らせると聡明になるといわれていた。これはまんざら嘘ではなく他の宝石より温度の低い水晶は脳と心臓につながりのある左手を刺激することは十分に考えられる。

シトリン(黄水晶)

 シトリンは前述してありますが長い間トパーズとして古くから人気があり、あまりにも一般化されていたために黄水晶と表示されるようになるといかにも安価な宝石のように思われるが、現実には良質なものがあまり産出されなくなってきたためにアメシストを熱処理し、供給されるようになってきた。コンゴやザンビア産のもので天然のものはまだまだあり需要もまだまだあると考えられる。また、名前の由来になったフランス語の柑橘系を示すシトロンが示すようにレモンやオレンジ系色が一般的でこれらの色は最近の風水や占いで金運や繁栄、健康を促すとされ、それゆえの人気もある。まだまだ、大きなデザイン物には欠かせない存在である。

水晶系の価値と判断基準

 大きさのあるものも透明なものに多く、この場合は透明度(清澄度)となります。しかし、有色水晶に関しては、やはり色が基準になりますがアメシスト、シトリンとも澄んだオリジナルカラー(アメシストであれば紫、シトリンであれば鮮やかな黄色)に近いものが高値になります。

原産地

 原産地は多岐にわたりブラジル、アメリカ、ロシア、スリランカ、コンゴ、ザンビアその他のアフリカ各地そして日本と最も世界に浸透していた宝石と言えるでしょう。

ポイント

 水晶系の宝石は最も馴染み深い宝石ですが、現在ではアクセサリー類にもたくさん安価で使用されており、宝石類との差を出来れば見本を見せながら明確にしていきましょう。

次のページへ 05 メノウ 宝石販売指導マニュアル 一覧へ戻る